全日本ジムカーナ/ダートトライアル2026年統一規則の変更点|新旧対照表の読み方
全日本ジムカーナ/ダートトライアルの規則を追うとき、前年の記憶だけで準備を進めるのは危険だ。JAFが公開する「2026年全日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権統一規則」の新旧対照表には、2026年規則と2025年規則が左右に並び、下線で変更箇所が示されている。
本稿では、この4ページの対照資料に明記された変更だけを扱う。役員の職務、タイヤの銘柄要件、参加料など、資料中で「略」とされている内容は推測で補わない。観戦者は公式結果や当日の手続きがどの文書に基づくのかを知る入口として、参加者は前年から持ち越せない確認事項を洗い出す入口として活用してほしい。
まず確認したいのは「全文」ではなく新旧対照資料であること
資料の表題は「2026年全日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権統一規則」だが、構成は2026年版の全文を順番に掲載するものではない。左列が2026年規則、右列が2025年規則で、多くの条項は「略」と表示される。したがって、このPDFだけで大会運営や車両規則の全体を判断することはできない。
一方、変更点の所在を把握するには有用だ。2026年欄の章・条番号を確認し、実際の参加時にはJAFの「国内モータースポーツ諸規則など」から、当年の選手権規定、統一規則、スピード競技開催規定、国内競技車両規則、さらに出場大会の特別規則をそろえる。対照表をチェックリスト、各規則本文を適用条件の確認先として分けて使うのが基本になる。
また、対照表の第1章は、競技会がJAF国内競技規則とその細則、2026年の選手権規定、2026年統一規則、スピード競技開催規定、当該競技会の特別規則に従って開催されるという記載例を示す。単独のPDFだけを読んで完結させず、大会固有文書までたどる必要がある理由がここに表れている。
参加受理の通知方法は特別規則で確かめる
第1章「大会告知」の「その他の事項」には、参加受理通知の記載例が追加された。例として示されるのは、指定日までのホームページ上の参加者リスト公開をもって受理に替える方法と、後日送付する受理書をもって正式参加受理とする方法である。後者は、郵送やe-mailなどの送付方法を明記するよう求めている。
さらに第7条4項は、2025年の「参加受理の諾否は参加受理書にて通知する」から、2026年は「当該競技会特別規則に定める方法により通知する」へ変わった。これにより、すべての大会で紙や電子の受理書が必ず届く、と一律には読めない。
参加者が見るべき場所は、出場する大会の特別規則にある参加受理の項目である。参加者リストの公開が通知となる大会なら、公開予定日と公式ホームページの場所を確認する。受理書方式なら送付方法を確認する。対照表は複数の方式を例示しているだけで、個別大会がどちらを採用するかまでは決めていない点に注意したい。
観戦者や取材者も、非公式なエントリー情報と大会が公開した参加者リストを区別できる。もっとも、参加者リスト公開後の欠場や変更まで、この対照表だけで判断することはできない。最終的な出走者は大会の公式通知、スタートリスト、リザルトで確認する必要がある。
P車両のタイヤ接触条件は「静止状態」が基準になった
第2条4項のP車両規定では、ジムカーナとダートトライアルの双方でタイヤおよびホイールの接触条件の文言が変わった。2026年は「静止状態において地表以外の部分と接触してはならない」とされる。
2025年欄は「いかなる場合も他の部分と接触しないこと」とし、ステアリングホイールを左右に最大操作した場合も接触しないことを括弧内で示していた。2026年対照表では、その表現がジムカーナのP車両は第2条4項(4)①ア)(オ)、ダートトライアルのP車両は同イ)(ウ)で置き換えられている。
ここで記事が断定できるのは、条文の判定表現が「静止状態において地表以外の部分と接触してはならない」へ変更されたことまでだ。具体的にどの姿勢、操舵角、荷重状態で検査するかという車検手順は、この4ページの資料には書かれていない。「静止状態」という語から独自の検査方法を作らず、適用される車両規則や大会の公式案内を確認したい。
同じ第2条は、P車両のタイヤサイズについて、量産車カタログの同一車両型式に記載されたサイズを基準とし、条件付きで幅を最大10mm、ホイール径を最大1インチまでサイズアップでき、サイズダウンは数値による規制なく変更できると記載している。ただし、対照表では多くの細目が「略」である。数字だけを抜き出して装着可否を決めず、省略された条件を規則本文で確認する必要がある。
ジムカーナB車両にも同じ表現変更がある
第17条1項(4)は、ジムカーナ競技のB車両について、条件付きで競技会開催場所内に限りタイヤサイズを自由とする。その条件のア)も、2026年はタイヤおよびホイールが「静止状態において地表以外の部分と接触してはならない」という表現になった。
2025年欄にあった「いかなる場合も他の部分と接触しないこと」と最大操舵時の括弧書きが、ここでも新しい文言に替わっている。P車両だけを確認して終えるのではなく、自分の車両区分に対応する条項を見ることが重要だ。
なお、第17条は競技期間中、機材や道具などを用いてタイヤを意図的に加熱、保温、冷却することを禁止している。ジムカーナのマーキング済みタイヤは、車両保管解除または正式結果発表まで変更、交換、裏組みが許されないとされ、2026年欄にはこの項目を2027年以降変更する場合があるとの注記もある。
これらはタイヤ運用を読むうえで重要だが、対照表では第17条の多くが省略されている。使用本数、交換が認められる条件、申告方法を含む全手順がこのPDFだけで確認できるわけではない。参加時は競技区分と車両区分に合う全文を参照する。
将来変更の予告は、現在の規則と混同しない
対照表には将来の変更可能性も記載されている。第2条1項は、参加車両が当年の日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定第11条に従うとしたうえで、ジムカーナ競技について2027年以降に本項を変更する場合があるとする。
第17条のジムカーナ用マーキングタイヤにも、2027年以降に当該項目を変更する場合があるとの注記がある。これは2027年の具体的な内容を確定する文言ではない。2026年の参加準備では2026年規則を適用し、翌年の規則は正式公示後に改めて確認する。
新旧対照表を読む際は、「2026年から変わった規定」「2026年に適用される規定」「2027年以降の変更可能性」を別々にメモすると混同を防げる。公示前の内容を予測し、部品購入や装備更新の確定条件にしないことが大切だ。
この資料で確認できないことと、公式文書のたどり方
企画段階では審査委員会、競技長、計時、技術、コース、パドック、救急など競技会主要役員の職務を説明する想定だった。しかし、この対照資料は第1章の「競技会主要役員」を「略」としており、役職ごとの権限、指揮系統、具体的な作業を示していない。役職名から職務を推測する記事にはできないため、企画を2026年の明文変更ガイドへ切り替えた。
同様に、参加費用、サービス員・サービスカー、タイムスケジュール、諸施設の見取り図も該当箇所が省略されている。これらは出場大会の特別規則、参加受理に伴う案内、公式通知で確認する。JAFの規則一覧ページは関連資料を探す入口であり、個別大会の確定情報そのものではない。
確認の順序は、(1)JAF規則一覧で当年資料を選ぶ、(2)新旧対照表で変更条項を特定する、(3)各規則の全文で省略部分と適用対象を読む、(4)出場大会の特別規則と公式通知で方法・日時・場所を確定する、の4段階が分かりやすい。観戦・取材では最後に公式スタートリスト、暫定結果、正式結果まで追い、変更前の情報を確定事項として残さないようにしたい。
まとめ
2026年新旧対照表で明確に追えるのは、参加受理を特別規則所定の方法で通知する変更、P車両とジムカーナB車両のタイヤ・ホイール接触条件の表現変更、2027年以降の変更可能性に関する注記などである。
対照表は差分を見つける資料であって、全手順を代替する全文規則ではない。「略」の先を想像で補わず、条番号を手掛かりに当年規則と大会文書へ進む。その読み方を守ることが、参加準備でも観戦記事でも、前年情報の持ち越しを避ける最短経路になる。