全日本ダートトライアル2026のタイヤ規則|8本上限、マーキング、交換条件を読む
ダート用タイヤを何本でもパドックへ持ち込めば、その場で自由に選べるわけではない。2026年の全日本ダートトライアルには、対象クラス、競技会で使用できる本数、同一銘柄の本数、第1ヒート前のマーキング、損傷時の交換手続きまで明文化された規則がある。一方、JAFが2026年2月に修正した「参考タイヤ銘柄サイズ一覧表」は全日本ジムカーナ向けであり、ダートトライアルの指定銘柄表ではない。似た名称の2競技を分けて読むことが、タイヤ規則を取り違えない出発点になる。
8本上限が適用されるクラスを先に確認する
2026年全日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権統一規則の第17条2)は、ダートトライアル競技の対象を「P、PN、N、SA・SAX、AE」と明記する。この対象クラスでは、1つの競技会で使用できるタイヤは最大8本。同じ銘柄は最大4本までだが、銘柄やサイズが異なるタイヤを任意に組み合わせることは認められている(PDF本文12〜13ページ、第17条2)(1))。
ここで大切なのは、「8本まで」と「同一銘柄4本まで」を別々に満たすことだ。たとえば二つの銘柄を4本ずつ用意する構成は条文の範囲に入るが、同じ銘柄を8本使うことはできない。また、規則が数えているのは単なる搬入本数ではなく「1つの競技会で使用できるタイヤ」の上限である。実際の登録・確認方法は、当該大会の特別規則、公式通知、車検時の指示に従う必要がある。
SCとDは第17条2)の括弧内に含まれていない。だからといって、両クラスは無条件に本数・銘柄・サイズが自由だと結論づけることはできない。統一規則第2条1)は参加車両について、2026年日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権規定第11条に従うとしている(本文4ページ)。クラスごとの車両規則に加え、各大会の特別規則と公式通知を確認するのが安全な読み方だ。本稿では、提示された統一規則だけからSC・Dの具体的な本数上限を補完しない。
第1ヒート前の4本にはマーキングが入る
P、PN、N、SA・SAX、AEでは、第1ヒートのスタート前に、装着している1セット4本へ競技会技術委員長がマーキングを行う(本文13ページ、第17条2)(2))。8本を準備できるという規定と、最初の4本を識別する手続きはセットで押さえたい。
第2ヒートでそのマーキング済みタイヤを使わない場合も、すぐ処分したり持ち出したりしてよいとは書かれていない。最終車両検査、車両保管、または正式結果の発表まで、参加者が保管することが求められる(第17条2)(3))。タイヤ選択は走行前だけの話ではなく、競技後の検査可能性を残す管理まで含む。
統一規則第17条の冒頭は、競技期間中に機材や道具を使ってタイヤを意図的に加熱、保温、冷却することを禁止している。さらにP車両に関する第2条4)のダートトライアル用規定では、タイヤのウォームアップ、クールダウン、溶剤塗布も禁止される(本文6ページ、第2条4)(4)①イ(キ))。走行による自然な温度変化と、機材・作業で意図的に状態を変える行為を混同しないことが必要だ。
バーストや大きな欠損は「申告してから交換」
第1ヒートでバースト、またはトレッド部の著しい欠損が起き、交換が必要になった場合、第17条2)(4)は最大2本までの交換を認める。ただし、交換品は同一溝パターン、すなわち同じ銘柄・サイズでなければならない。
手順も指定されている。まず自車の第1ヒート走行終了直後、競技会技術委員長または技術委員へ口頭で申告し、交換が必要なタイヤの確認を受ける。その後、交換するタイヤのサイズ、理由、参加クラス、参加者名、参加車両の型式を書面にして速やかに申告する。交換後のタイヤには技術委員長または技術委員がマーキングする(本文13ページ、第17条2)(4)①〜③)。「壊れたから同等品へ替えた」という自己判断だけでは、この例外の条件を満たさない。
同一車両による重複参加では別の作業規定も関わる。前走者から後走者へ交代する際、ダートトライアルで認められるのは、ボンネットの開閉、空気圧調整、窓拭き、水による冷却と、バーストしたタイヤの交換。交換は同一溝パターンに限り2本までで、作業前または後走者の当該ヒート走行後速やかに交換申告書を提出する(本文13ページ、第18条2)(2))。通常のヒート間交換と、重複参加時の作業条件は同じ条文ではないため、該当する手続きを分けて確認したい。
P車両ではサイズと使用状態にも具体的な条件がある
統一規則第2条4)はP車両について、国内競技車両規則に加えて許される改造範囲を示す。そのうちダートトライアルのタイヤは、量産車カタログの同一車両型式に載るサイズを基準に、競技会開催場所内に限り、幅は最大10mm、ホイール径は最大1インチまでサイズアップできる。サイズダウンは数値による規制なく変更可能とされる(本文6ページ、第2条4)(4)①イ)。
ただし、最大負荷能力は基準タイヤと同等以上が必要。公道走行が許される一般市販タイヤでなければならず、競技専用タイヤは使用できない。静止時に地表以外へ接触せず、フェンダーからはみ出さないこと、溝は常に1.6mm以上、加工禁止、スパイクタイヤ禁止という条件も並ぶ。同じ項目にあるホイール規定では、ダートトライアルでの変更を競技会開催場所内に限定し、スチール製またはJWLマークのある軽合金製とする。ホイールスペーサーも認められない(本文6ページ、第2条4)(4)②イ)。
これらは第2条4)が対象とするP車両の追加規定である。PN、N、SA・SAX、AE、SC、Dへ、そのまま一律に当てはめることはできない。各クラスのタイヤ寸法、材質、改造範囲を確定するには、該当する2026年国内競技車両規則と選手権規定も必要になる。
「参考タイヤ一覧」はダート用リストではない
JAFの2026年2月19日修正ページは、統一規則第2条2)に関する参考タイヤ銘柄・サイズ一覧を掲載している。しかし第2条2)の主語は「全日本ジムカーナ選手権に参加するP車両、PN車両およびAE車両」であり、公表PDFの表題も「全日本ジムカーナ選手権 タイヤ銘柄一覧」である。したがって、その一覧に銘柄があるかどうかを、全日本ダートトライアルで使えるタイヤの判定表として扱うのは誤りだ。
ダートトライアルでは、まず自分のクラスが第17条2)の8本制限対象かを確認する。次に該当車両規則でサイズ・仕様を確認し、最後に大会の特別規則と公式通知で登録方法、マーキング時刻、車検・保管の運用を確認する。この三段階なら、銘柄一覧の競技違いと、全国統一の条文・大会固有の手続きの混同を避けられる。
タイヤ選択は路面に合わせる技術である前に、使える候補を規則内へ収める準備でもある。最大8本という数字だけを覚えるのではなく、対象クラス、同一銘柄4本、最初のマーキング、損傷時の申告を一つの流れで読む。スタート直前に判明する違反を防ぐには、特別規則が公開された時点で自分の8本と交換手順を紙上で照合しておくのが確実だ。
情報源
- JAF国内競技規則・細則(2026年規則の掲載元): https://motorsports.jaf.or.jp/regulations/domestic
- 2026年全日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権統一規則: https://motorsports.jaf.or.jp/-/media/1/3375/3379/3400/3462/3466/3495/2026_touitsu_kisoku_all_japan_gymk_dirt_20260101.pdf
- 全日本ジムカーナ/ダートトライアル選手権統一規則 第2条2)における参考タイヤ銘柄サイズ一覧表の修正について(一覧の適用競技を確認): https://motorsports.jaf.or.jp/regulations/announcement/notice/2026/20260218_01