2026/9/8 / ダートトライアル / GRIDLINE 編集部

ダートトライアルPN車両の泥よけとアンダーガード|10cm・20cm・車幅1/3の読み分け

PN車両の泥よけを確認するとき、10cm、20cm、車幅の3分の1という数字を、すべて「これだけ離す」という寸法に置き換えてはいけない。測る場所も、境界の値を含むかどうかも異なる。車体下側のアンダーガードにも、泥よけとは別の条件がある。

本稿は2026年JAF国内競技車両規則・第3編第3章のスピードPN車両規定に限定する。2026年9月8日にJAFの現行規則一覧から指定PDFへのリンクを再確認し、PDF通し30頁の第9条9.1.6)・9.1.7)と第3−41図を照合した。P車両の足回りや他区分の改造範囲を解説するものではなく、個別製品の適合、施工方法、車検合否は判定しない。

1.PNの泥よけは「付けられる条件」から読む

9.1.6)は、列挙した条件を満たすマッドフラップの装着を認める構成だ。この条項だけから、すべてのPN車両に一律の装着義務があるとはいえない。ただし、装着が任意であることと、装着した部品の寸法が自由であることは別である。

確認の出発点は「泥よけ付きか」ではなく、「PNのどの条件を確認するか」に置く。第3−41図には車両の前後と車幅が示され、未被覆部分や左右の隙間が描かれている。部品の写真を一枚眺めるより、前輪の後ろ、後輪の前、後輪の後ろという位置に分けて読み進める方が、数値の取り違えを避けやすい。

大会ごとの特別規則は本稿の取得対象に含めていない。前部に付ける泥よけのように大会文書の承認条件が関係する箇所は、共通規定の確認だけで完結させず、個別の文書を確認する対象として残す。これは装着義務の追加ではなく、後述する特則を読み落とさないための区別だ。

2.材質、排気管との関係、外側の形状を見る

PNのマッドフラップには柔軟な材質が求められる。排気管などへの干渉も認められず、車体の外側表面に当たる部分に外向きの尖りや鋭い部分があってはならない。幅や高さだけが条件ではない点を押さえたい。

現物を見る際は、泥よけ本体だけでなく、取り付けた状態での端部と周囲の関係も確認対象にする。本体の商品写真からは、装着後に排気管へ接するか、外側にどの部分が現れるかまでは分からない場合がある。この見方は編集部の整理案であり、JAF所定の検査方法を追加するものではない。

当該条項に、柔軟性を判定する硬度、板厚、推奨銘柄、排気管から確保する具体的な離隔値は記されていない。独自に数値を補い、「この厚さなら適合」「何ミリ離せば合格」と説明することは避ける。材質の説明が得られても、装着後の干渉や端部まで確認済みとは扱わない。

3.ホイールを覆う幅と、覆わない幅は対になる

各ホイールについて、少なくともその全幅を泥よけで覆う条件がある。同時に、前輪と後輪の後方には、車幅の3分の1以上の未被覆部分を残す必要がある。泥よけを横に広げることだけを考えると、「覆う」と「覆わない」という二つの条件のうち片方を見失う。

第3−41図では車幅をaとして、その3分の1以上を確保する位置が車両の前後方向に分けて示されている。ここでの基準は車幅であって、ホイール一つの幅や、左右の泥よけ部品の幅を足した値ではない。ホイールの被覆条件と未被覆条件は、基準となる対象を別々に記録する。

計算の読み方だけを示すと、仮に車幅が180cmなら、その3分の1は60cmである。この60cmは未被覆幅の条件を読むための算術例であり、泥よけ一枚の推奨幅ではない。実車の車幅を180cmと仮定して準備を進める例でもない。境界に等しい値を含む「以上」と、次節の10cmの扱いを区別するための例だ。

4.後輪前方は20cm以上、底部の高さは10cm未満

リアホイールの前方にある左右のマッドフラップの間には、20cm以上の隙間が求められる。第3−41図でも、この20cmは後輪の前にある左右間の寸法として示されている。「前方20cm」と短縮すると、車体の前端から突き出す量や、ホイールとの前後方向の距離に見えてしまうため、何と何の間なのかを省略しない。

底部の高さは別の条件だ。車両に誰も乗らず停止しているとき、泥よけの底部が地表から10cm以上の位置にあってはならないと記されている。文言を不等号で整理すれば、高さhはh<10cmとなる。「10cm以上離す」は反対の意味であり、「10cm以下」と書いて10cmちょうどを含めるのも原文とは異なる。

確認対象条文から整理した境界間違えやすい読み方
前輪・後輪の後方に残す未被覆幅車幅の1/3以上ホイール幅の1/3とする
後輪前方にある左右の泥よけの間20cm以上後輪までの前後距離とする
無乗車・停止時の底部と地表の間10cm未満10cm以上、または10cm以下とする

表は条文の読み分けであり、公認の測定手順や測定許容差を設定したものではない。乗員が座ったときの値を無乗車時の値へ置き換えず、境界付近で丸めた表示だけを根拠に判定しない。寸法一つが条件内でも、材質や他の位置の条件まで適合したことにはならない。

5.車体外形の制限と、車両前部に付ける場合の特則

9.1.6)の一般条件には、垂直投影面で泥よけが車体からはみ出してはならないという外形上の制限もある。底部の高さとは確認する方向が違う。側面の写真や底部までの距離だけでは、この条件の確認を代用できない。

続く段落は、前方へのはねを防ぐため車両の前部に付ける泥よけを扱う。柔軟な材質であることに加え、競技の特別規則書が認めるか要請するときに装着できるという条件が付く。通常の装着が認められているから、前部への追加も無条件でできるとは読まない。

前部用は車両全幅の外へ出てはならず、当初の全長から10cm以上長くしてもならない。全長の増加分をΔLと置くなら、境界の読み方はΔL<10cm。ここでも10cmちょうどを含めないが、比べる対象は車体の当初全長であり、地表からの高さではない。数値の一致を理由に、底部高さと同じ測定欄へまとめない。

さらに、フロントホイールの前方には車幅の3分の1以上の未被覆部分が必要になる。第3節の前後輪の後方とは位置が違うため、前部用を検討するときは、この前輪前方の条件も加えて読む。図の上端側の表示と本文を対応させ、前輪後方を測った記録で前輪前方まで確認したことにしない。

6.アンダーガードは寸法ではなく目的と構造を照合

9.1.7)が認めるアンダーガードは、車体下部の保護を目的とし、空力効果を生じず、取り外せる保護体である。マッドフラップに出てくる10cmや20cmは、この条項のアンダーガード寸法として書かれているわけではない。同じ頁の隣の項目でも、数値を移し替えないことが重要だ。

読む軸は「どこを保護するか」「取り外せるか」「空力効果を生じるものではないか」の三つになる。商品名がアンダーガードであることだけでは、実際の構造や機能は確定しない。形状や装着範囲を示す資料は、これらの条件に対して何が確認でき、何が未確認かを整理するために扱う。

この条項は特定の金属、板厚、ボルト本数、許容荷重を指定していない。泥よけの高さ条件を転用してアンダーガードの地上高を決めることも、取り外せるという一点から防護性能や施工強度まで保証することもできない。本稿では車体下へ入る作業や加工を案内せず、具体的な取り付けと適合の判断は専門知識を持つ担当者と大会側への確認につなぐ。

7.数字が合っていても、別の条件なら確認をやり直す

確認結果を読むときは、「60cmあった」「10cmだった」という数字だけで終わらせない。未被覆幅60cmという記録なら、前輪の前なのか後ろなのか、基準の車幅はいくつなのかが必要になる。底部高さ10cmという記録なら、無乗車・停止という状態でも、原文の禁止側の境界に入っている。これは実車の総合的な合否判定ではなく、寸法条件だけを読む場合の整理だ。

同様に、20cmの左右間隔を確認しても、車幅の3分の1を空ける別の箇所まで確認したことにはならない。全長増加を10cm未満に収めるという説明も、前部用の装着を認める特別規則の代わりにはならない。数字、位置、状態、装着の前提を組にして残すことを勧める。

泥よけは被覆と空間の関係、アンダーガードは保護目的と構造。その違いを保ったまま資料を読むのが本稿の到達点となる。条件の一部を満たしたことから車両全体の適合へ飛躍せず、未確認の位置や機能は未確認のまま区別して、正式な資料と現車の確認へ戻りたい。

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