2026年ダートトライアルの15インチ化|タイヤ・ホイールとブレーキ変更範囲
2026年JAF国内競技車両規則のスピード車両規定では、ダートトライアルに参加するPN車両とN車両について、15インチタイヤを装着するためのブレーキ変更規定が加わった。対象は、メーカー設定が16インチ以上で、変更前の状態では15インチタイヤを装着できない車両である。単に小径ホイールへ交換できるという規定ではない。対象競技、元のタイヤ設定、装着不能という条件に加え、キャリパー、ディスク、材質、ピストン数、部品の入手性まで確認する必要がある。
すでにGRIDLINEには、全日本ダートトライアルで使えるタイヤの本数、マーキング、損傷時の交換手続きを扱った記事がある。本稿はその内容を繰り返さず、JAFが公開した2026年と2025年の新旧対照表を使い、車両側でどこまで変更できるかに焦点を絞る。競技会で使用できる本数と、車両規則上の装着可否は別の確認項目である。
2026年の新設点は「15インチ装着に必要なブレーキ変更」
新旧対照表のスピードPN車両規定第6条6.3)には、ダートトライアル競技に参加する車両に限り、メーカー設定で16インチ以上のタイヤを装着し、15インチタイヤを装着できない車両を対象とする規定が追加された。非舗装路面で行うその他の種目も対象に含まれる。目的は15インチタイヤの装着であり、そのためにブレーキキャリパーとブレーキディスクを変更し、サイズを変えることが認められる(PDF 2〜3頁、第3章第6条6.3))。
同じ内容はスピードN車両規定にも新設されている。N車両では第4章第6条6.4)に置かれ、対象条件と許されるブレーキ変更の枠組みはPN車両の条文と同じである(PDF 4〜5頁、第4章第6条6.4))。新旧対照表の2025年側には、これらの項目に相当する本文がなく、後続の条項番号が2026年側で繰り下がっている。
この新設規定だけから、15インチ化が全クラス・全車両で許されるとは読めない。PDFが明記するのはPN車両とN車両の各章であり、しかもダートトライアル等、メーカー設定16インチ以上、15インチを装着できない車両、15インチ装着を目的とする変更という条件が並ぶ。車両区分と元の仕様を確かめずに、数値だけを流用することはできない。
キャリパーは市販生産部品、最大4ピストンまで
PN・Nの新設条項は、変更後のキャリパーにも条件を付ける。キャリパーはブレーキコンポーネントメーカーから市販されている生産部品でなければならない。ホイールごとに認められるキャリパーユニットは1つで、キャリパーハウジングまたはボディの材質はスチールかアルミニウムに限られる。キャリパー1個当たりのピストン数は最大4つである(PDF 2〜3頁および4〜5頁、PN第6条6.3)①、N第6条6.4)①)。
取り付けブラケットは自由に作成できる一方、ブラケット以外の全ての部品は、製品カタログまたは部品カタログから入手できなければならない。チタンとセラミック材料は禁止される。したがって、条文が許しているのは無条件のワンオフ化ではない。ブラケットと、それ以外のキャリパー関連部品では扱いが分かれている。
準備段階では、採用するキャリパーのメーカー、製品名、材質、ピストン数を確認し、カタログ上で入手できる部品であることを示せる資料を揃える必要がある。もっとも、提出資料の様式や確認時期はこの新旧対照表には書かれていない。大会の特別規則や公式通知に定めがある場合は、そちらも別途確認する。
ディスクは市販品、最大直径300mm
ディスク側では、ディスク(ローター)と取り付けベルが、通常入手可能な一般販売部品、すなわち市販品であることが求められる。ディスクの最大直径は300mm。製品カタログまたは部品カタログから全ての部品を入手できなければならない(PDF 3頁および5頁、PN第6条6.3)②、N第6条6.4)②)。
カーボン製ブレーキディスクは禁止される。これはキャリパーのチタン・セラミック禁止とは別に、ディスクについて条文本文で示された制限である。15インチホイール内へ収めることだけを基準に部品を選ぶのではなく、直径、材質、市販性、カタログからの入手性を一つずつ照合する必要がある。
条文は最大直径を300mmと定めるが、特定車種に300mmのディスクが必ず装着できることまでは保証していない。キャリパーやブラケットとの組み合わせ、車体との接触、安全性について、別の規則や実車確認を省略できるという記述もない。数値上限と個別車両への適合を分けて扱うのが正確である。
PN・Nのタイヤ寸法は同一車両型式のカタログが基準
PN車両規定第8条8.1.2)は、ダートトライアル用タイヤの寸法を、自動車製造者が発行した量産車カタログの同一車両型式に記載されるタイヤサイズから判断する。競技会開催場所、つまり公認コース内に限り、サイズアップは幅を最大10mm、ホイール径を最大1インチまで認め、サイズダウンは数値による規制なく変更できる(PDF 4頁、第3章第8条8.1.2))。
ただし、サイズダウンに数値上の下限が書かれていないことと、どの寸法でも装着できることは同義ではない。同条には、最大負荷能力が基準サイズと同等以上であること、公道走行が許される一般市販タイヤであること、競技専用タイヤを使用しないことなどの条件が続く。さらに、15インチ化のためブレーキ変更が必要なPN車両では、第6条6.3)の条件も同時に確認することになる。
N車両も第8条に競技種目別のタイヤ規定を置く。新旧対照表では、N車両のダートトライアルに関する第8条8.1.2)のうち、2026年に変更された接触条件を掲載し、その他の項目は「略」としている(PDF 6頁)。この資料は変更点を示す対照表であり、省略された現行条文を消滅したものとして扱ってはならない。最終判断には2026年規則の全条文が必要である。
2026年は接触条件の表現も変更された
タイヤ・ホイールの接触条件は、2025年の「いかなる場合も他の部分と接触しないこと」から、2026年の「静止状態において地表以外の部分と接触してはならない」へ変更されている。PN車両ではジムカーナの第8条8.1.1)⑤と、ダートトライアルの第8条8.1.2)③に変更が示される(PDF 3〜4頁)。N車両では同じ各項目がPDF 5〜6頁、SA車両ではPDF 7頁に掲載されている。
新旧対照表は左右の欄で文言の差を示している。したがって、2026年の検査で用いるべき文言は左側の2026年規定である。一方、「静止状態」が具体的にどの場所、操舵角、積載条件を指すかについて、この変更資料は追加の定義を示していない。本稿で検査方法を推測して補わず、技術委員の確認と大会文書に従うべき事項として残す。
ホイール変更はタイヤ寸法だけでは確定しない
「ホイール径を最大1インチまで」という記載はタイヤサイズ変更の基準の中にある。これだけを切り出して、リム幅、インセット、材質、スペーサーなど全ての変更が自由だと読むことはできない。提示されたPDFでは第8条8.2)の多くが「略」とされており、変更のないホイール条項は新旧対照表に全文掲載されていない。
また、15インチタイヤ装着のためのブレーキ変更は、ホイールが車体や制動装置へ適合することを自動的に証明する規定ではない。PNまたはNであること、第6条の新設条件を満たすこと、第8条のタイヤ条件を満たすこと、そして省略されているホイールの現行条文を満たすことは、別々に確認する必要がある。
確認の順序は、まず参加車両の区分を確定し、メーカーの量産車カタログで同一車両型式の標準設定を確認する。次に2026年のスピード車両規定全文で該当章の第6条と第8条を読み、採用部品のカタログを照合する。最後に大会の特別規則と公式通知を確認する。この順序なら、変更対照表の「略」を自由化と取り違えにくい。
8本上限の記事とは確認対象が異なる
全日本選手権統一規則にあるタイヤ本数、同一銘柄の本数、マーキング、損傷時交換は、競技会でどのタイヤを何本使用できるかという運用規則である。本稿が扱うスピード車両規定は、車両区分ごとの改造・部品条件である。15インチ化の条件を満たしても、選手権統一規則上の使用本数や手続きが不要になるわけではない。
逆に、使用本数の枠内へ収めただけで、車両規則に適合しないタイヤ、ホイール、ブレーキ変更が認められるわけでもない。2026年は、PN・Nの15インチ化に関連する新設条文があるため、「タイヤの登録」と「車両の仕様」を別のチェック欄にする必要がある。
車両準備で照合する項目
実車作業の前に、少なくとも次の事実を資料上で確認したい。車両区分がPNかNか、参加種目がダートトライアルまたは非舗装路面の対象種目か、メーカー設定が16インチ以上か、現状で15インチタイヤを装着できないか、変更目的が15インチ装着か、という対象条件である。
部品側は、キャリパーが市販生産部品か、1ホイール1ユニットか、ボディ材質がスチールまたはアルミニウムか、最大4ピストンかを照合する。ディスクは市販品か、最大直径300mm以内か、カーボン製でないかを確認する。ブラケットを除く部品と、ディスク・取り付けベルの全てが製品または部品カタログから入手可能かも条文上の確認点になる。
そのうえで、同一車両型式のカタログ記載サイズ、最大負荷能力、一般市販タイヤであること、静止状態の接触条件、現行規則全文のホイール条項を確認する。新旧対照表は変更箇所を特定する入口として有効だが、それだけで車両適合を完結させる資料ではない。JAFの国内競技車両規則掲載ページから2026年の現行規則を確認し、大会固有文書と合わせて判断することが必要である。
情報源
- JAF「国内競技車両規則」掲載ページ: https://motorsports.jaf.or.jp/regulations/information/internal
- JAF「2026年JAF国内競技車両規則 第3編 スピード車両規定(2025年規定との対照表)」: https://motorsports.jaf.or.jp/-/media/1/3375/3379/3402/3404/4350/20251007_02.pdf